或る一人の悲しい男の物語
先生はいつも夜になるとうなされている。いつも読書をした後1時2時頃眠って、その後すぐうなされ始める。
それは毎日のように声を上げて、最悪の場合30分ぐらいは叫び続ける。
「どうして毎日うなされるんですか?」
「何か怖がっているからこうなるんでしょう?」
「"何を"怖がっているんです?」
その質問はいつも発せられる前に喉の奥へと吸い込まれていく。聞いてはいけないような気がして―――。