×真夏の[変態]恋伝奇×







林を脱出した時には、既に日は暮れかけていた。

赤く染まった公園のベンチに疲れ切った二人で腰掛けた。


「あー。腹筋痛い。ちょっと笑いすぎちゃったかな」


「僕も。なんか笑い疲れた感じ」


結局、カブトムシを一匹も捕まえることなく終わった。

あれが最大なチャンスだった訳だけど、あたしが力を入れすぎたために失敗。


もちろん捕まえられなかった悔しい気持ちもあるけど、何ていうか、満足感の方が強い。


なんでだろ、なんか満足してるんだ。

やりきった感じがあるんだ。

体の疲れも心地いい。


それはやっぱり、久しぶりにこんなわくわくしたからなのかもしれない。


あの興奮は、くせになる。



< 28 / 78 >

この作品をシェア

pagetop