×真夏の[変態]恋伝奇×
林を脱出した時には、既に日は暮れかけていた。
赤く染まった公園のベンチに疲れ切った二人で腰掛けた。
「あー。腹筋痛い。ちょっと笑いすぎちゃったかな」
「僕も。なんか笑い疲れた感じ」
結局、カブトムシを一匹も捕まえることなく終わった。
あれが最大なチャンスだった訳だけど、あたしが力を入れすぎたために失敗。
もちろん捕まえられなかった悔しい気持ちもあるけど、何ていうか、満足感の方が強い。
なんでだろ、なんか満足してるんだ。
やりきった感じがあるんだ。
体の疲れも心地いい。
それはやっぱり、久しぶりにこんなわくわくしたからなのかもしれない。
あの興奮は、くせになる。