×真夏の[変態]恋伝奇×
暑い。
とりあえず、暑い。
木陰の下なのに、太陽がじりじりと照りつけてくるのがわかる。
額から頬、頬から顎へと汗が滴り落ちていく。
すっげえ、あっちい。
「あ゙ー暑い。暑い暑い!もう我慢できねーよ。暑すぎて死にそうぅぅ」
誰もが、というか俺たち二人が避けていた言葉を発したのは、やはり空気の読めない寺島だった。
年季が入った、タオルというより手拭いと表現した方が似つかわしいボロい布切れで汗を拭っている。
むさ苦しい絵だ。
「おい寺島、ただでさえ暑いんだ。余計暑苦しくなるようなこと言うな」
それにつっこんだのは、三人の中で一応ツッコミを担当している俺だ。
俺の隣に座る岡部も、同意するようにウンウンと頷いている。
「別にいいじゃんかぁ。橋本知らねえの?ゲンロンの自由はケンポーでホショーされてるんだぜー」
「…漢字を使え、漢字を。何言ってんのかサッパリだぞ、お前」
むさ苦しいこと、極まりない。