×真夏の[変態]恋伝奇×
「まあ今のは冗談だけどさ。けどさ、そう考えるとさ、魚住さんなんかよくねえか?」
寺島の口から、具体的な女子の名前が出た。
岡部が額の汗を拭い、尋ねる。
「魚住さんって、この間転校して来た魚住さんのこと?」
「おーよ。よくね?」
魚住さん。
下の名前は忘れてしまった。
この春に、トーキョーだかキョートだかよくわからないが、とにかく都会から越してきた人だ。
この田舎では珍しい、肌が透けるように白く、スラリと背の高い女の子だ。
しゃべったことはないからなんとも言えないけど、なんかちょっと高飛車な感じっていうか。
普通の女の子なんだけど、都会オーラを漂わせているような人。
何を言われた訳でもされた訳でもないんだけど、田舎もん男子からしたら、お高くとまったお嬢様ってイメージだ。
まあ偏見っていうのもちょっとあるけど。
寺島の口から、彼女の名前が出るとは。ちょっと意外だ。