×真夏の[変態]恋伝奇×
「じゃあこれでどうだ。目の前にいきなり水着美女が現れる!どうだ、インパクトあるだろ」
…水着美女?
なんだ、その超現実離れしたら妄想は。
「寺島…、お前さ。女のことしか考えられないのかよ。いるわけないじゃん水着美女なんて。つーか海水浴場自体ないのにさ」
寺島が思い切り顔をしかめる。
ちょっと大げさだ。
ため息をついて言う。
「だぁかぁらぁ。なんで橋本はそんな夢のないことをいうかねえ。わっかんねえだろ。この暑さで水着一丁で通り歩いてるかもしんないじゃん」
「…そりゃ単なるバカだろ」
「でも、水着ならやっぱビキニだよね」
「えっ、ちょ、岡部まで?」
「んなの男なら当たり前だろー。俺はあれだな、ヒョウとかゼブラの超えろいやつ希望」
「ヒョウ!?ゼブラ!?なんだそのお約束すぎる妄想は!」
「えー。僕は普通に可愛いやつでいいや。ピンクとか白とか」
「岡部!なにお前まで寺島のくだらん妄想にのってんだ」
「あのねえ橋本クン、さっきから君ギャンギャンうるさ…」
寺島が言い切らないうちに、俺たちはハッとした。
俺たちの目の前を流れる川が、
一瞬で赤くなったからだ。