×真夏の[変態]恋伝奇×
「あれーっ。橋本くんに岡部くん、それに寺島くんだー!」
魚住さんもこちらに気付き、楽しそうに両手を振ってきた。
というか、俺たちの名前を知っていたことにまず驚いた。
話したこと、なかったのに。
「三人はそんなところで何してるのー」
俺たちと魚住さん、つまりは俺たちと小川の距離はそんなに離れていない。
しかし少し声を張り上げないと、蝉の鳴き声で全く聞こえないのだ。
「暑いからちょっと木陰で休憩中なんだ。魚住さんこそ、何してるの」
「私ー?見てのとおり、魚とってるの!あっ、ちょうど良かった。この魚の名前、何なのか教えてくれるー?」
魚住さんはそう言ったかと思うと、ザブザブと水の中を突き進み、岸へと上がってきた。