×真夏の[変態]恋伝奇×
赤いビキニは、ナイススタイルをしならせながら、再び小川の中へ潜って行った。
赤と白が遠くなる。
暑苦しい蝉の鳴き声と、暑苦しい野郎三人が木陰の下に残った。
「…僕、やっぱピンクより赤のビキニの方がいいかも」
岡部がぽつりと呟いた。
ジリジリと照りつける太陽が鬱陶しくなってきた。
俺は額の汗を拭った。
寺島の鼻息が荒い。
「…おい。言っとくけどな、魚住さんは俺が最初に目ぇつけてたんだからな。お前ら横取りすんなよ」
「横取りも何も、それ以前にお前が魚住さんゲットできる訳ないだろ。つーか誰だよ。ヒョウやゼブラがいいって言った変態野郎は」
「それは男のロマンてやつだよ」
蝉が鳴いている。
俺たちは日が沈みかけ、蝉が鳴くのを止めるまで、ただ呆然と目の前の小川を眺め続けていることだろう。
この空が、赤く染まるまで
きっと、たぶん。
【 小川の中の魚住さん fin. 】