×真夏の[変態]恋伝奇×


これまでの流れからすると、読者のあなたはきっと俺を怪しい目で見ることだろう。


俺だって、ちょっとどうかと思う時もある。


俺はまだ十九の青年で、大学には同世代の可愛い女子が溢れていて。


それなのに、何も四十前の人妻にメロメロにならなくたって、と。


でもなんていうか、洋子さんには周りの女子にない色香があるんだ。


そのスタイルも、仕草も、男をそそるような色っぽいもので。


時折、上目遣いで俺を見て歯を見せて笑う姿が、たまらなく可愛いと思えてしまうのだ。


それはたぶん、洋子さんの長い人生の中で(なんて言ったら失礼か)身につけた技なのだ。


俺が人妻キラーな訳じゃない。

きっと男なら誰でも、思わずドキッとしてしまうだろう。


そういうわけで、俺が特別変態なわけじゃない。


うん、たぶん、おそらく。


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