×真夏の[変態]恋伝奇×
「やだ、もうこんな時間!?」
思わず、(ではなかったかもしれないけど)洋子さんの肩に手を伸ばしかけた時だった。
洋子さんは慌てて立ち上がり、こう叫んだのだ。
俺は出しかけた手を引っ込め、洋子さんを見上げた。
「ど、どうしたんですか」
「ごめん、トオルくん。私帰って晩ご飯用意しなきゃ。話してたら気付かなかったわ」
……晩ご飯?
時計を見ると、まだ三時過ぎだ。
いそいそと帰り支度を始める洋子さんに、まだどぎまぎしている俺は聞く。
「洋子さんちは、夕飯早いんですね」
「うん。晩ご飯食べて、ランニングするようにしてるからね」
そう言って、店先に立て掛けたレースの日傘を手にとった。
ランニング?