×真夏の[変態]恋伝奇×




「今は簡単にできるのね。感動しちゃった。だからすっかり常連さんよ」


「は、はあ…」


そうか、ヒアルロン酸…。

洋子さんは社長夫人だ。

美容にかけられるお金だって、凡人とは桁違いな訳だ。

地域婦人連〇会の化粧水でしのいでいる、うちの母親とは違うのだ。



「でもねえ、そうやって通いつめてたら、あっという間にお金なくなっちゃって。

お料理苦手なのに、家計が苦しくって外食できなくなるし。トオルくんのお店には感謝してるわー。こんなに安くお野菜が手に入るんだもの」


洋子さんはにこにこ笑って言った。


きっと今までなら、この笑顔にときめいていたのだろうが。

やはり年齢を知ってしまったからなのか。


…どうも古くさく見えてしまう、ような。





< 63 / 78 >

この作品をシェア

pagetop