×真夏の[変態]恋伝奇×
彼氏が欲しいと思ったことは、何度かあった。
友達の楽しそうな顔を見る度、そして鏡の中の和也を見る度に、それは思っていた。
あたしは和也の幼なじみだけど、周りの人はよくあたしたちの仲を誤解した。
されても仕方ないとは思う。
和也がナルシストであるという事実はあたししか知らないし、実際、女の子からの告白も、今まですべて丁重にお断りしてきたし。
あたしはあたしで、恋愛願望はあるけれどそこまで熱烈なものでもなく、他の女の子たちとは少しズレていたから。
みんなも女の子ならわかると思うけど、男の子が思っているより、女の子ってすごくえっちだ。
ガールズトークの半分は恋ばなだけど、半分は下ネタだったりする。
あたしの周りもそうで、皆そういう話に興味があるみたいだけど、あたしは全くと言っていいほどない。
だって、強制的に和也のを見てるし。
…ん?これはちょっと違うか
ええと、何て言うんだろう
つまりは、ナルシストな和也の近くにいるからこそ、あたしは恋愛に対して強い願望は持てなかったし、皆より冷静だったのかもしれない、ということ。
ただでさえ恋愛に関しては受け身なあたしなのに、和也との仲を誤解されて、男が言い寄って来なかった、ということ。
いつもいつも和也に邪魔されて、ノーマルな恋愛が出来なかった、ということだ。