天神学園高等部の奇怪な面々Ⅵ
実はというか当然というか、演劇部は天神学園の中ではかなりマイナーな部活だ。

バンドで言うならインディーズ、地獄の釜の底の底。

ラビのライブの足元の側溝の底にも及ばない不人気な出し物だ…ちと言い過ぎか。

とにかく毎年演劇部の出し物は客が入らず、客席が閑散としている。

『これはきっと、看板スターがいないからに違いない!』

部長は一計を案じる。

天神学園の人気者を舞台に上げる事ができれば、観客を多く獲得できると思ったのだ。

最初は生徒会長に頼もうと思ったが、コロコロ笑って演劇部廃部の危機にまで追い詰められた。

生徒指導に頼もうと思ったが、必殺の『無影脚』で抹殺されかけた。

『アスラ神群』の頭目に頼もうと思ったが、何やら黄金色の瞳で睨まれたらいつの間にか気絶してしまっていた。

風紀委員長に頼もうと思ったが、色々18禁なので舞台そのものが危ぶまれると思って考え直した。

それならば…。

部長は天神学園ヒエラルギー最後の一角、『皇帝』水無瀬 遥に白羽の矢を立てたのである。

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