天神学園高等部の奇怪な面々Ⅵ
「ロミオ…」

か細い声で、切なげな表情で。

窮奇ジュリエットはヨヨヨとよろめくように、遥ロミオに歩み寄る。

今にも倒れそうで、支えたくなるような歩み。

思わず抱き締めてしまいたくなる遥ロミオ。

…既に窮奇ジュリエットの術中、いや妖術にハマっているとも知らず。

抱き締められる事を何とか堪えるように、遥ロミオとの間を置いて踏み留まる窮奇ジュリエット。

「あぁロミオ…」

(え?)

遥ロミオがキョトンとする。

「あなたはどうして…」

その台詞。

『ロミオとジュリエット』で最も有名な、引き裂かれた二人が悲恋に嘆くあのシーンだ。

(あれ、窮奇違う、そのシーンまだ、まだジュリエットとロミオ出逢ったばかりだから、そのシーン一番盛り上がるとこだから、オイシイシーンここでやったら勿体無いから)

しかし真に迫った窮奇ジュリエットの演技。

観客も引き込まれ。

「あなたはどうして…本当の正体は宇宙人なの?」

(それ言っちゃらめぇえぇぇええぇえぇぇっ!)

遥ロミオは舞台上で『NOOOOOOO!』と悶絶した。

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