天神学園高等部の奇怪な面々Ⅵ
彼女が運んできたのは。

「猫っ?」

おんこが目を丸くする。

芽々の腕の中に抱かれているのは白い猫。

まだ仔猫らしく、機嫌よさそうに尻尾を振って鳴く姿が愛らしい。

しかし、このオークションは発明品を販売するのでは?

「聞いて驚け!何とこの猫は、わしが開発した高性能AIを搭載したペットロボットなのだ!」

鼓姫の言葉に、会場からどよめきの声が上がる。

見た目も鳴き声も抱き締めた時の感触も温もりも、全て本物と寸分違わず。

なのに糞もせず、ずっと愛らしい仔猫のままで成長しない。

餌は水のみでOK、病気にもならないし、予防接種も不必要、ロボットだがメンテナンスもほぼ不必要で、躾も完璧なので壁を引っ掻いたりする事もない。

毛が生え変わったりもしないので、猫アレルギーの人間でも飼える。

< 167 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop