天神学園高等部の奇怪な面々Ⅵ
何かのお祭りだろうか。

尻尾をユラユラさせながら様子を窺う快の鼻先に。

「!」

いい匂いが漂ってくる。

匂いのする方向を眺める快。

…それは天神学園文化祭のフードコーナーからの香りだった。

生徒達が自ら屋台を出店し、学園の中庭で販売している。

焼きそば、タコ焼き、ホットドッグ、お好み焼きといった定番から、何とここでは回転寿司や焼き肉、ビュッフェスタイルの店舗まで存在する。

儲けは全て天神学園の運営にあてられる。

この分だと『校舎半壊事件』の修理費を補って余りある金額が集まりそうだ。

匂いに誘われてフードコーナーに降り立った快に。

「お、猫」

自分の出し物の前に腹ごしらえをしていたラビが通りかかる。

「ほら、お前も食うか?」

よく冷ました、タコ焼きの中のタコを快の口の中に。

目を細めてタコを食べながら、快は思った。

天神学園は天国みたいな所だなぁ…と。

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