届かぬ想い。叶わぬ願い。
「“じゃあな。”」
『“うん、またね…!”』
少しの沈黙の後、
尚斗が先に切り出し尚斗が私の背後にある向かいのドアへと歩む。
すると
「“優衣。”」
と私の斜め後ろで少し立ち止まり
背中を向けたまま私の名前を呼ぶ
『“ん?”』
「“無理……すんなよ”」
と、こちらを振り返らないままそう告げると私の頭に手を置き軽く撫でてくれた。
『“っ……。”』
そしてまたゆっくりと歩きだす
私はその背中を静かに見送る
…………。
『“…ありがと…”』
見送った後、私は一筋の涙と共に少し笑みを浮かべ小さな声でそう呟いた。
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