えみだま
4月
1組と4組
「ふぁ~ぁ~…眠い」
「高須、寝不足か?」
欠伸をした俺に、小柄な男が話しかけてきた。
同じクラスの野口だ。
「いや、先生の話長いから」
今は始業式が終わり、体育館から教室へと向かってる途中。
「あぁ、やっぱ?」
オレの肩ぐらいの位置に、野口の笑った顔が見える。
「俺は途中から聞いてなかった」
「オレもだ」
そういや、「オレ」と、みんなの言う「俺」って、何か発音違う。う~ん…語尾が上がる感じか?
「つーか、始めから聞いてねぇ」
「オイ」
先生方、可哀想に。
「か~ずしっ」
明るい声がして振り返ると、そこには天然パーマの、オレより背が低く、野口より背の高い男がいた。
「おぅ、紅祐(コウスケ)」
「いいなぁ~。1組は」
紅祐はいきなり、残念な雰囲気を纏った。
「どうした?」
いつもは明るい紅祐が暗くなったので、心配する。
「狙ってた女とクラスが離れたとか?」
「いや、違うと言い切れないがそれではない」
「言い切れよ」
野口の茶化しにわざわざ乗るのは紅祐らしいが、そこは友達として言い切って欲しかった。
「…4組が遠い」
「「知らねぇよ」」
オレと野口が思ったことをそのまま声に出したら、偶然声が揃った。
「だって、1組はすぐそこだよ?」
「知らねぇ」
「おぅ、じゃあな」
自分達の教室に着いた野口はさっさと入ろうとした。なんて薄情な奴。
「あれ?」
紅祐は1組の教室の前で立ち止まった。
「どうした?」
オレがそう言うと、野口は教室に2、3歩入ったところで振り返った。
「あの娘、可愛くね?」
紅祐の視線の先は、教室の後ろの窓側にいる、2人の女子。
ポニーテールの子と、ショートの子。
「どっち?」
「俺はショート派だけど、どっちも」
女好きか。
「2人共テニス部のマネージャーだろ?」
その女好きに言うのは間違いか。
「へぇ~…」
簡潔な解説の間、紅祐は2人に視線を釘付け。
「一志…」
まさか…紹介しろ?メアド交換してきて?クラス交換しよう?…それはないだろ。
「テニス部入ろう」
「高須、寝不足か?」
欠伸をした俺に、小柄な男が話しかけてきた。
同じクラスの野口だ。
「いや、先生の話長いから」
今は始業式が終わり、体育館から教室へと向かってる途中。
「あぁ、やっぱ?」
オレの肩ぐらいの位置に、野口の笑った顔が見える。
「俺は途中から聞いてなかった」
「オレもだ」
そういや、「オレ」と、みんなの言う「俺」って、何か発音違う。う~ん…語尾が上がる感じか?
「つーか、始めから聞いてねぇ」
「オイ」
先生方、可哀想に。
「か~ずしっ」
明るい声がして振り返ると、そこには天然パーマの、オレより背が低く、野口より背の高い男がいた。
「おぅ、紅祐(コウスケ)」
「いいなぁ~。1組は」
紅祐はいきなり、残念な雰囲気を纏った。
「どうした?」
いつもは明るい紅祐が暗くなったので、心配する。
「狙ってた女とクラスが離れたとか?」
「いや、違うと言い切れないがそれではない」
「言い切れよ」
野口の茶化しにわざわざ乗るのは紅祐らしいが、そこは友達として言い切って欲しかった。
「…4組が遠い」
「「知らねぇよ」」
オレと野口が思ったことをそのまま声に出したら、偶然声が揃った。
「だって、1組はすぐそこだよ?」
「知らねぇ」
「おぅ、じゃあな」
自分達の教室に着いた野口はさっさと入ろうとした。なんて薄情な奴。
「あれ?」
紅祐は1組の教室の前で立ち止まった。
「どうした?」
オレがそう言うと、野口は教室に2、3歩入ったところで振り返った。
「あの娘、可愛くね?」
紅祐の視線の先は、教室の後ろの窓側にいる、2人の女子。
ポニーテールの子と、ショートの子。
「どっち?」
「俺はショート派だけど、どっちも」
女好きか。
「2人共テニス部のマネージャーだろ?」
その女好きに言うのは間違いか。
「へぇ~…」
簡潔な解説の間、紅祐は2人に視線を釘付け。
「一志…」
まさか…紹介しろ?メアド交換してきて?クラス交換しよう?…それはないだろ。
「テニス部入ろう」