えみだま
代わってあげたいけどなぁ。

「ひかるが後から来るから無理だよ」

「そう」

それだけ言って、コートへと向かう要。

「今日は素振りだけにしなよ」

「いや、いい」

結局か。



マネージャー2人の仕事は微妙に違う。

2人共球拾いはするけど、主に私は球出し、ひかるはフォームのチェック。

ひかるがいない時、フォームの指導は出来ないけど、練習はちゃんと出来てる。きっと。

ラリー練習。ひかるも一志も智士もとっくに来ていて、ラリーは3コート使われた。

球拾いの範囲広くて困っちゃうなぁ。

「っ」

「うぉ~い」

「っ」

「うぉ~い」

いつの間にか要のバックと紅祐のフォアによるパワープレーが始まってる。

「っ」

「ていっ」

そこでスライスかいっ。パワープレイ早くも終了。

「あっ」

不意に零した紅祐の声。

「っ」

球が弱かったのか、あっさりとネット際からのバックハンド、要得意のジャックナイフで返されてる。

「よっ」

紅祐はなんとか追いついてロブ。でもスマッシュで逆サイドに返されて終了。

あっけない。

隣のコートはテンション高い。

「秘剣・燕返し」

泰稔による、バックハンドのスライス。あんまり弾まないことがあるみたいだけど、それは運次第とか。

「よっ」

一志は頑張って追いついて、軽く打つ。

「………」

ネット際ギリギリに落とそうとしたんだろうね。失敗して、ネットに掛かった。

「クソー。やってられっか。次っ」

「打つ気あんじゃん」

私のクマのときのネタだよね、あれ。先生のネタ取るなら、おしおきだべ~。

それはさて置き、マークと智士。

うん。やっぱり。ロブ対決。

要のお陰なのかな。確かに安全圏狙ってるだけにも見えるけど、かなり集中してる気がする。

いや、ひかるが怖いのかな。

来月大会。

1番手、和島要。

2番手、岩田紅祐。

3番手、野口泰稔。

4番手、高須一志。

5番手、佐野マーク。

6番手、上甲智士。

みんなどこまで行くかな。

…そういえば、その前にもう一度、番手戦あるんだっけ。
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