えみだま
我先にと出て行く奴がいる訳もなく、数秒後に先生からのご指名でマネージャーから紹介された。

まず先にポニーテールの子。

岩田が言うには、少し背が低めな容姿端麗さん。

「2年1組、夕月ひかるです。マネージャーとして頑張ります。よろしくお願いします」

はっきりと聞き取りやすい高めの声で紹介を終えた夕月は、自分の座っていた席へと戻った。

「じゃあ、ひぃちゃんかな?」

目の前には、窓側に座る高須に向けて疑問を投げかける岩田がいる。何故今あだ名を考えたんだコイツは。

「今日も空が青いな」

岩田はスルーされた。可哀想で笑いそう。笑いをこらえながら紹介されるのはキツい。

次はショートの子。

岩田はショートの子の方が良いとか言ってたな。

「2年1組の天音ひなたです。え~っと…」

少しのんびりしたような声で紹介をしている天音は、何を言おうか考えているようだ。

「私のスリーサイズ知りたい人は、あとでこっそりね」

何か危険な発言が出た。聞き間違いであってほしい。

「よろしくお願いします」

「泰稔」

岩田が振り向いて何か言おうとしている。

「どっちもひぃちゃん…」

「知らねぇよ」

「ほらほら、静かに」

先生の注意が入った。思わず大声でツッコミを入れてしまった。

元から部員だった男が前に立つ。

デカい。細い。髪長い。

髪で目が隠れてて、見た感じ暗そう。

「2年2組、和島要。よろしくお願いします」

低くて小さい声。同じクラスだったのか。存在に気付かなかった。

そして俺らの紹介は省略。



放課後。部活へのやる気もチャージをしたところで、部室行きますか。

「今日は部活お休みだよ~」

部室に行こうとした俺は、天音マネージャーの一言により、教室を出る前からテンションが落ちた。

「みんなでどっか行こっ」

天音は俺に向かって言った。

「俺にだけ言うなよ」

「じゃあみんな呼んでくる」

天音は超特急電車の如く走り去った。

俺は再び席に座る。

そこへ、高須がやって来た。

「マネージャーさんにお誘い、行く?」

「全員行くなら」

「みんな行くって~」

マジすか。
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