Secret Garden!!〜オトコだらけの秘密の花園〜
「…俺さ。」
しばらくして、波の音に同化するように遥季の声が呟いた。
「…俺さ、釉梨のことが好きだったんだ。」
遥季はオレンジ色に光る波をまっすぐに見つめたまま、つぶやくように語った。
「…え?釉梨さんって…」
思わず遥季の顔を見つめると、遥季は寂しそうに微笑んだ。
「…結局、夕都の彼女になっちまったけど。」
「…。」
何も言えないまま、私はただ遥季の顔を見つめた。
「ずっと言えないまま…時が経ってた。釉梨が夕都を好きなの…知ってたから。」
「…遥季…。」
ただ、名前を呼ぶことしかできなかった。
遥季の痛みも、遥季の辛さも…推し量ることしか、私にはできないから。
そんな私が簡単に同情していいほど、軽い気持ちじゃないと思うから。
だからただ、名前を呼ぶことしかできなかった。