Secret Garden!!〜オトコだらけの秘密の花園〜
「陽依が寮に来た時…、俺、怖かったんだ。陽依と仲良くしたら、俺の中で釉梨が消えるんじゃないかって。」
波を見つめていた遥季が、ふいに私を見つめた。
…真っすぐで純粋な目が遥季らしい、そう思った。
「でも…、陽依に怒鳴られた時、はっとした。俺は何をしてたんだって。『陽依』は『陽依』だ、一人の人間なんだって。」
そう言うと、遥季は薄く笑った。
「陽依が来てくれてよかったって思ってんだ、俺。」
「遥季…。」
「なかなか抜け出せないでいたトコから、抜け出せたんだ。前に、進めた。」
遥季があまりにも優しく話すから、私は涙を堪えるのに必死だった。
「…っておい!?泣くなよ…ばか陽依。」
そう言うと、遥季は私の髪をわちゃわちゃとなでまわした。
「ばかは遥季でしょー…!?」
必死に鼻をすすりながら涙目のまま遥季を睨むと、遥季は面白そうに喉を鳴らした。