Secret Garden!!〜オトコだらけの秘密の花園〜
強くする『傷』
3.強くする『傷』
朝。
最近ずっとどたばたしていたけれど、私もやっと落ち着いてきた。
だけど…
「…はよ。」
「…っ、」
棗さんとは、気まずいまま…。
棗さんは素っ気ないながらも、できるだけ冷静に私と接しようとしてくれてる。
…なのに、どうして私はこんななんだろう。
いざ棗さんを前にすると、どうしていいのか分からなくなって、何も言えなくなってしまう。
棗さんはそのままリビングに入ってしまった。
学年が違うから、学校ではあまり会わない。
そうなると、寮で顔を合わせない限りは会う機会もそうそうない。
それに棗さんは最近新しい写真集の出版で忙しいらしく、会っても朝、私が学校に行く時に棗さんが降りてきてすれ違う、その時だけだった。
「はぁ…」
棗さんの後ろ姿を見送りながら、私はため息をついた。
「ひよりん、どしたの?大丈夫?ため息なんかついて…」
たっくんが心配そうに私の顔を覗き込むから、私はあわてて笑顔を作った。
「大丈夫だよ!学校、早く行かなきゃ遅刻だよ?」
たっくんにそう言いながら、私たちは寮の玄関を出た。