Secret Garden!!〜オトコだらけの秘密の花園〜
「…私、棗さんに告白されました。だけど…だけど、私が好きなのは…夕都、だから。」
私がまくし立てるように言うと、樹さんはひとつだけ頷いて、あとは何にも言わなかった。
…きっと、私が胸の内を話すのを待ってくれてるんだ。
「でも、棗さんは私にとって、大切な人で…棗さんを傷つけたくないって、そう思ったら…曖昧な返事しかできなくて…それで、それで…っ」
言葉にすると、何故だか分からないけれど、ぽろぽろと雫がほおを伝っていった。
「…っほんとは…分かってるんです。私、棗さんを傷つけたくないんじゃなくて、自分が傷つきたくないだけなんだって…!!」
…ううん、本当は分かってた。
私は、棗さんを傷つけたくなかったわけじゃなくて、自分が傷つくのが怖かったんだ。
私…、棗さんに酷いことをした。
返事をうやむやにして、棗さんを避けて…
本当に棗さんのことを思うなら、私の本当の気持ちを棗さんに打ち明けるべきだったのに…。
口の中に残る林檎とベリーの風味のほろ苦さが、やけに胸を苦しくさせる。
…そうだ、このシャンパンはまるで…『恋』みたいな、複雑な味がした…──。