Secret Garden!!〜オトコだらけの秘密の花園〜
約1時間後。
「あれ、今日はどうしたの?早いねぇ、二人とも。」
竜君と二人で朝ごはん作りに悪戦苦闘していると、ぽかんとした顔で樹さんがリビングへとやってきた。
「あ、樹さん!おはようございます!」
「いつも樹に任せっぱなしやからたまには頑張ろう思って。」
野菜を洗いながら、竜君も照れくさそうに笑う。
「それはありがたいな。ありがとね、二人とも。」
新聞紙を持った樹さんが私たちを見てにこりと笑った。
樹さんにはダージリンのストレート、だよね。
私は樹さん愛用のマグカップに紅茶を注いで、ダイニングテーブルに座る樹さんの元へ運ぶ。
「…昨日は、ありがとうございました。」
私が紅茶を置きながら小声でお礼を言うと、樹さんは優しく微笑んでくれた。
「元気そうでよかった。…やっぱり、陽依ちゃんは笑顔でないと、ね?」
そう言って悪戯っぽくウィンクすると、樹さんはまた新聞紙に目を戻した。
…この寮の人達は、みんなとても優しい。
心配してくれたり、励ましてくれたり、痛みに寄り添ってくれる。
まだまだ先になりそうだけど…
いつかなにか、恩返しがしたい。
朝食を作りながら、私はそんなことを思った…──