Secret Garden!!〜オトコだらけの秘密の花園〜
「…無事で、よかった。」
耳に響く低い声と共に、身体中がふわりと体温に包まれる。
「…ぁ、」
気付けば、私は夕都に抱き締められていた。
だけど、その声があまりにも心配げな声だったから、追い払うこともできなくて…。
それに、私は、複雑な感情を持つ前に嬉しいと感じてしまった自分に戸惑った。
みんなも呆気にとられていたのかしばらく固まってしまっていた。
「…ちょ、夕都!お前は天然にも程があんだよ、考えろ!」
図書館だから抑え気味だけど、遥季が慌てたように夕都に怒鳴る。
「…あ、ごめ」
「夕都ずるい!俺も!」
夕都の謝罪の声に被せて、たっくんが後ろからぎゅっと抱きついてきた。
「…っちょ…!」
私は慌てて、抑えながらも抗議の声を上げる。
「しー、他のヤツにばれてもいいの?これじゃ確実にイケナイことしてるって誤解されるよ?」
…なんて棗さんに人差し指を口に当てられて、妖艶に微笑まれた時には、もう失神しそうになった。
棗さん、こんなキャラじゃなかったでしょ…!?
「…赤くなってるひよりんの顔も新鮮でええなぁ。」
「…たこみてぇ。」
遥季と竜君なんて私の顔の感想なんか述べちゃってるし!!
もう、やっぱりS寮の住人は変人ばっかりだ!!
…だけど。
窓から差し込む夕焼けの光に照らされながら並ぶ5人は、今までにないくらいかっこよく見えたことは、私の中だけの秘密にしておこう…──。