Secret Garden!!〜オトコだらけの秘密の花園〜
素敵な人
2.素敵な人
「うぅ、あっつーい…」
夏の陽気はすっかり強さを増す。
庭に植えてあるミニトマトとキュウリが実をつけている。
私は、前に借りてきた図鑑を片手に、花たちとにらめっこしている真っ最中だ。
やってるうちにだんだん意地になってきちゃって、暑い暑いと思うのに、止められない。
「陽依!」
立ち上がって服の袖で汗を拭うのと、遥季が私を呼ぶのとが同じタイミングだった。
「遥季。どうしたの?」
私が首をかしげると、遥季はワクワクしながら早口に言う。
「樹が夏蜜柑のジュレ作ってくれたんだよ、ウッドデッキで食べようぜ!」
そう言って、私の腕をぐいぐい引っ張る。
「えっちょ…」
戸惑う私をよそに、飛び跳ねそうな勢いで私をウッドデッキまで引っ張っていった。
…何を隠そう、遥季は俺様のクセして甘党王子なのだ。
「そのギャップが萌えるのよ」とかなんとか、華が言ってた記憶がないでもない。