Secret Garden!!〜オトコだらけの秘密の花園〜
「見たことないなぁ…。」
つぶやく私の前で、夏の風にそよぐ花。
釉梨さんの石碑の周りは芝が引かれて綺麗な状態。
そのまわりに、この花たちが咲いていた。
蝉の鳴く声が聞こえる。
緑の間から、入道雲が顔を出す。
「…ねぇ、釉梨さん。…幸せだった?」
さっき、庭から切ってきたダリアを石碑の前に置きながら、私はつぶやく。
いつか…
近いうちに終わりが来ると分かっていた恋。
恋が実っても、儚く終わりを告げると知っていた恋。
…それが、釉梨さんと夕都の恋愛だったはず。
ふと、夕都の部屋に飾っていた二人の写真を思い出す。
…二人は、幸せそうに微笑みあっていた。
「…釉梨さん。夕都は今でも、貴女のこと…想ってるよ…。」
私の呟きは、ふわりと香る花の香りと一緒に、夏の風に溶けていった。