Secret Garden!!〜オトコだらけの秘密の花園〜
「…私、単純だからさ。あれみたら、みんなの心が少しでも晴れるんじゃないかとか…そんなこと思って、夕都と釉梨さんのこと…考える余裕、なかったや。」
ぼんやりと周りの景色を見ながら言うと、遥季はさらに私を見つめた。
「…私のこと心配して、わざわざきてくれたんだよね?ごめんね、戻ろっ…」
ベンチから立ち上がるのとほぼ同時に、腕が引き寄せられた。
「…遥季?」
耳元で、遥季の心臓音が響く。
遥季に抱き締められているのだと気付くまで、そう時間はかからなかった。
「ばかやろー…。」
遥季の体から、直接耳に流れてくる言葉。
いつも言われているはずの「ばかやろう」なのに、今日のには痛みと切なさが伴っているように聞こえた。
「…遥季、」
私が腕に力を込めて離れようとすると、遥季の腕にさらに力が加わって、逃げられなくなった。
「…わりぃ、わざと傷つけること言った。くそ、こんなこと言いたいんじゃねぇんだよ…。」
遥季が感情を抑えるかのような声で言う。
「遥季…」
「…あと少しだけ、このままで聞いてほしい。」
耳に直接響く、いつもより少しだけ低い声に、私は頷くしかなかった…。