Secret Garden!!〜オトコだらけの秘密の花園〜
「…前に、俺が釉梨を好きだったって話したじゃん?」
「…うん。」
「…あの時のこと、ずっと引きずってたのは、釉梨が死んだからってだけじゃない。…好きなのに、何もしなかったからだ。」
微かに震えている声と腕。
それがどんな感情から来るものなのか、私には分からない。
「…この気持ちを貫いたら、陽依を苦しめることも分かってる。」
「…遥季、」
「けど…もう、誤魔化せねぇ。」
…どう、答えたらいいのか分からなくて。
私はただ…
自分のてのひらを、ぎゅっと握り締めた。
「…聞いてくれてありがとな。」
言葉が途切れてしばらくして、遥季がさっきより明るい声でそう言うと、私を離した。
「遥季…」
「…陽依?」
私が遥季の名前を呼んだのと同時に、私の名前を呼ぶ声が凛と響く。
「…じゃ、な。」
その人物を一瞥すると、遥季はくるりと踵を返した。
「あ…」
遥季の背中を見送りながら、私は今来た人物に視線をうつす。
「…ごめん。」
遥季の後ろ姿と私を交互に見たあと、夕都が謝る。
「大丈夫だよ、多分。」
私が微笑みながら言うと、夕都はもう一度遥季の後ろ姿に目をやった。