Secret Garden!!〜オトコだらけの秘密の花園〜




「…ねぇ夕都。」

手紙を半ば夕都に突き返すように渡して、私は東屋から出る。
…嫉妬なのか羨望なのかなんなのか、名前をつけようがない感情が私の中に渦巻く。



私の声に、夕都が私を見る。


「釉梨さんの石碑の庭に植えられてる花…『スターチス』って花だった。」


「『スターチス』…。」

夕都が花の名を繰り返す。



「花言葉は…『永遠に変わらず』なんだって。…釉梨さんの心は、ずっと夕都のものなんだよ。」


…笑え。笑え、私。
努めて明るい声で言う。

よかったね、と満面の笑みで振り向くと、夕都は無言のまま、私に近づいてきた。





「夕…、」

手紙を持っていない方の手で、私の頬に触れる夕都。

そのまま、夕都は私の顔を覗き込んだ。




「…陽依。」

「…っ」


息が詰まる。
嬉しいのと同時に、激しい悲しみが湧いてくる。

どうして優しくするの。
いっそ突き放してくれたら楽なのに。
亡くなってしまった人になんて、勝てないよ…。


釉梨さんは、綺麗な想い出として一生夕都の心を惹き付け続けるんだろう。
そんな人に、どうやって勝てっていうの…?



ぐちゃぐちゃの、嵐のような感情が、私を飲み込んでいった…。







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