Secret Garden!!〜オトコだらけの秘密の花園〜
「…休憩がてら、ちょっと話聞いてもらってええ?」
芝生に繋がるウッドデッキの端の段差に腰掛けて、竜くんが隣をぽんぽんと叩く。
私はコクリと頷いて、竜くんの隣に座った。
「俺な、オヤジが武道の家元やって、記憶ある頃から武道は一通りやっててん。大会もそれなりに優勝したりして…でも、段々武道の楽しさが分からへんようになって…。武道を続ける意味が分からんようになった…。」
「竜くん…。」
「…だから、一回自分をリセットする気持ちで、家出てきてん。」
竜くんの顔をちらりと見ると、意外と晴れ晴れとした表情をしている。
「…リセット、できた?」
私が尋ねると、竜くんは明るい笑顔でしっかり頷いた。
「…S寮のみんな、それぞれいろんな『才能』をもってる。けど…それは、みんなが頑張ってるからこそ輝いてるって思うねん!」
…本当だ。
頑張ってない人なんて此処にはいない。
みんなそれぞれ持つ夢や理想は違うけれど…『才能』があるからこそ、それ以上の努力をしている。
きっと…
S寮のみんなが王子様って呼ばれるのは、ルックスとか声明だけじゃない。
みんなが頑張って、キラキラしてるからだ。
「やから、俺ももう一回頑張ろう思えた。それに…こうやって、ひよりんが話聞いてくれたし!」
そう言いながら立ち上がった竜くんは、夏の日差しに負けないくらいキラキラして見えた…──。