Secret Garden!!〜オトコだらけの秘密の花園〜
不器用な僕ら〜樹side〜
2.不器用な僕ら(樹side)
「陽依ちゃん!」
…あぁ、もう。
女の子が泣くのを見るのは、自分が原因じゃなくても何となく見ていて辛いものがある。
苦々しい気分のまま、僕は緊迫したままのリビングに視線を戻した。
「…棗も遥季も、落ち着いて。」
夕都に視線を注ぐ二人をなだめながら、僕は夕都に視線を移す。
「……。」
僕の視線に、一瞬だけ哀しそうな表情を滲ませた夕都は、黙ったまま顔を背けた。
…夕都なりに、苦しんでるのか。
それとも何か考えがあるのか。
夕都は何も言わないから、解るはずがない。
だけど…
夕都は、人の痛みが分からないヤツじゃない。
それだけは、解る。
竜太郎は、心配そうに様子をうかがっている。
…みんな、若いなぁ。
なんとなく微笑ましい気分になりながらも、今はそれどころじゃない、と、顔を引き締めた。