Secret Garden!!〜オトコだらけの秘密の花園〜




樹さんが、野外ステージを見ながら言う。

「『Pansee time』には、それぞれの精一杯の想いがつまってる。…受け入れてやって、なんて言わない。だから…受け取ってやってほしいな。」


「樹さん…。」

…私は、樹さんの横顔を見る。
樹さんは私に視線を戻すと、優しく微笑んでくれた。




「ひよりーーっ、何話してんだよーっ!」

…遥季の声が、学園中に響くんじゃないかと思うくらいに響きわたる。




「…樹さん、ちょっと、行ってきます!!」

「うん、いってらっしゃい!!」

私が言うと、樹さんはポンと背中を押してくれた。





樹さんの優しさに背中を押され、私は野外ステージへと、全力で駆け出した。






「…僕、陽依ちゃんに何、言おうとしてたんだ…。」


紫色になった空を見上げながら、切なげに呟いた樹さんの言葉を知らないまま…──。









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