変わりたい自分に愛をこめて
由希
「それでは業務内容と今後のことについてお話しますね。」
軽い気持ちで、お店の人に聞いてみたら、スタッフルームに連れてこられて
なぜか話はトントン拍子で進んだ。
ってか私、お醤油とお財布のほかに何も持ってないんですけど。
「これまでで、何か質問ありますか?」
「あの、これって採用ってことですよね?」
「はい、ちゃんとした手続きは後日していただきますが。」
私の隣には、長ーい黒髪の女の人が座ってる。
この人も採用?ってことは同期?
なんか、とっても不気味なんですけど。
「では、今日はこの辺で。都合のいい時に正式な手続きと、シフト希望出してくださいね」
「あ、ありがとうございました。」
私がそう言うと、隣の髪の長い女も無言でお辞儀した。
このスーパー緩いな・・・。
そう思いながらチラリを横を向くと、黒髪はうつむいて動こうとしない。
この子、全然喋らないんだけど、本当に接客できるの?
まぁ、私の考えることでもないんだけど。
あ、おつかいの途中だった。帰らなきゃ。
そう思って立ち去ろうとした瞬間、
「あ、あのっ!」
「痛っ!」
思ってもない力でバシっと肩を叩かれた。