変わりたい自分に愛をこめて

由希




「それでは業務内容と今後のことについてお話しますね。」



軽い気持ちで、お店の人に聞いてみたら、スタッフルームに連れてこられて

なぜか話はトントン拍子で進んだ。

ってか私、お醤油とお財布のほかに何も持ってないんですけど。



「これまでで、何か質問ありますか?」

「あの、これって採用ってことですよね?」

「はい、ちゃんとした手続きは後日していただきますが。」



私の隣には、長ーい黒髪の女の人が座ってる。

この人も採用?ってことは同期?

なんか、とっても不気味なんですけど。



「では、今日はこの辺で。都合のいい時に正式な手続きと、シフト希望出してくださいね」

「あ、ありがとうございました。」



私がそう言うと、隣の髪の長い女も無言でお辞儀した。

このスーパー緩いな・・・。

そう思いながらチラリを横を向くと、黒髪はうつむいて動こうとしない。

この子、全然喋らないんだけど、本当に接客できるの?

まぁ、私の考えることでもないんだけど。

あ、おつかいの途中だった。帰らなきゃ。

そう思って立ち去ろうとした瞬間、



「あ、あのっ!」

「痛っ!」



思ってもない力でバシっと肩を叩かれた。





< 7 / 9 >

この作品をシェア

pagetop