変わりたい自分に愛をこめて
「な、何?」
「こ、これ、忘れ物です。」
「あ、お醤油。」
肩を叩いてきたのは黒髪で、こっちを全然見ずにしゃべってきた。
お醤油買いに来てお醤油忘れるとか、とんだ失態をしてしまうところだったわ。
それにしたってあんなに強く叩かなくてもよいじゃない?
まぁ、同期な訳だし、仲良くなってた方がよいかもね。
「教えてくれてありがとう。私、彩菜。好きに呼んで。あなたもここでアルバイトするんでしょ?よろしくね。」
「あ、いえ。私は・・・。大丈夫ですので。」
そう言うとさっさと黒髪は去って行ってしまった。
「何よ。感じ悪いわね。」
名前ぐらい名乗ってもよいじゃない?
これからバイトで顔合わせこともあるのに、あの態度はないわ。
そんなことをブツブツつぶやきながら、私は家に帰った。