変わりたい自分に愛をこめて
ひたすら廊下の端を早歩きで歩く。
誰の邪魔にもならないように、誰にも迷惑かけないよう。
私は由希(ユキ)。
大学1年生。
腰まで伸びた髪は染めることもなく大したケアもしていない。
目指すのは、大学の端の校舎のトイレ。
目的は・・・、
「ふう、いただきます。」
お昼ご飯を食べるため。
やっと見つけた落ち着ける場所。
授業中は何とか大丈夫だけど、学食とかカフェとか、人の目が気になってどうしても行けない。
誰かとつるむのも苦手で、やっと見つけたのは大学の端にある、最近工事された綺麗なトイレの個室だった。
大学の端にあるため、人通りも少なく、由希にとってはこれ以上にない好条件だった。
「ん、おいしい。」
自分で作ったお弁当を頬ばれば、少しだけ笑みをこぼす。
トイレでご飯を食べるのは、自分でもどうかと思うが、これだけ人の目を気にしなくていいなら、それくらいどうってことない。
「もう少し、豪華にしたいんだけどな・・・」
そう呟きながら、質素なお弁当を次々に口に運んだ。