DOORS
「もし今日のご飯パンにしてたらどうなっていたのかなぁ。」
少し古い定食屋で鮭定食を食べながら考える。
「またそんな事言って…。」
うんざりしたような声を出しているのは、友達の水野百々。
高校の時からの付き合いで親友と言ってもいいかもしれない。
彼女は雑誌社に勤めていてファッション誌を担当している。
しがないOLの私とは違ってバリバリのキャリアウーマンだ。
忙しい彼女だけど時間が合えばこうやってご飯を食べている。
「でもパン買いに行ったら面白い事が起きてたかもよ?」
「角を曲がった所でイケメンとぶつかって恋に落ちたり?」
「そう!」
「ないない!葵は早いとこ彼氏作りなよ。そんな夢みたいな事言わなくなるよ?」
「…別に夢みてる訳じゃないし。」
ふて腐れながら鮭に箸をのばす。