DOORS
ピンポーン
「はーい。ってあーちゃんかぁ!」
ドアが開くと太陽みたいな笑顔で迎えてくれるのは、佐々木浩平(ササキ コウヘイ)。
実家が近所の幼なじみで同級生。
兄弟のように育ってきたので何でも話せるし、なにより一緒に居て落ち着くので、お互い一人暮らしをしてからも私は良く浩平の家へ来ている。
「はい、ご飯食べるでしょ?」
「うん、ありがと!」
目の前にはフワフワの卵のオムライス。
…ケチャップで"あーちゃん"の名前入り。
「うーん!美味しいっ!」
このご飯の美味しさも私が此処にくる理由のひとつだったり…。
「良かった♪
…髪伸びてきたね?」
言葉と同時に浩平は私の髪を掬い上げる。
「くすぐったいよ。」
「今度切ってあげるね!」
浩平は美容師。
私は彼が美容師になる前からカットやカラーをしてもらっている。