この空の下で
…でも…少しだけど喋っちゃったよ。あのJINくんと…テレビでしか逢えなかったJINくんを生で見れてそれでもって笑顔も声も聞けちゃうなんて…一般人にとってはこんな夢のような体験はそうそうできるもんじゃない。
ちょっとラッキーかも…
「碧はいるかっ!!碧ッ!!」
お父さんのあわただしい声が聞えてきた。どうやら私を探している様子。
「お父さんッ!!」
手を振るとそれに気付いたお父さんは猛スピードでこっちに向かってきた。息も少し荒い。一体どんなトラブルが起こったのだろう…
「はぁはぁ…よかった見つかって…はぁはぁ…」
尋常じゃない汗を拭きながらその言葉を繰り返す。
「どうしたの??」
「単刀直入で悪いが碧、お前イベントに出てくれないか?いや…出ろ。」
「え??なんで?」
頭の整理ができない。
「イベントに出るはずだった女優さんがさっき、熱中症で倒れて救急車で運ばれてしまったんだ。」
「へぇ…でもどうして私…」
「頼むッ!出てくれっ!!」