ONLOOKER Ⅲ


直姫が犯人を特定できた理由は分かったものの、いまだに謎は残る。

そんな根拠がいくつもあるのなら、わざわざありもしない証言をでっち上げたりしなくても、そのことを使って問い詰めれば良かったのではないだろうか。
例えはっきりと口を割らなくても、紅への嫌がらせの事実と内容までは生徒会役員とごく一部の教師しか知らないのだから、どこかでなにかしらぼろを出したはずなのだ。

もし相手がふてぶてしいまでに頭の回転の早い人物だったなら、逆にこちらが窮地に追い込まれていた可能性だってあった。

その疑問をそのまま口にすれば、直姫は当然だとでも言うように、それこそふてぶてしく、言った。


「女子特有の嫌がらせだから分かったなんて、言えるわけないじゃないですか。じゃあなんでお前は分かったんだって話になるでしょ」


それに、それだけじゃ決定打にはならないかなって。
呟くように付け加えたが、つまりは、本当は女だということがバレる危険を恐れたのだろう。

聖や真琴たちから見る限りでは、その心配はあまりないように思えることを、わざわざ口にする者はいなかった。
直姫が眉を寄せる。

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