ONLOOKER Ⅲ
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そうして、二人で並んで腰を降ろした、中庭のベンチ。
マシンガントークという言葉を体現するかのように、千佐都の話題は終わりを知らない。
直姫はというと、食べ終えたパンの袋を丸めてごみ箱に投げ込み、千佐都の話に無難な相槌を打ちながら、もう咲き終わった春の花を眺めていた。
そういえば、昨日真琴から来たメールには、北海道では五月も終わる頃にやっと桜が散り、アジサイとコスモスが同時に咲き出し、すでに赤とんぼが飛んでいるらしい、と書かれていた。
日本は四季のある国のはずなのにとぼんやり考え、目線を緑から彼方に移した、そのとき。
(あ……)
ばっちりと目が合ってしまったその人、いやその人たちは、あからさまにしまった、という顔をした。
少し離れた北校舎の角から、こちらを覗く顔が四つ。
串団子みたいに縦に並んで顔を出している。
はたして、隠れる気があるのか、ないのか。
「ね、聞いてるの、直姫くん。どうかした?」
「あの……あれ、誰ですかね」
「え?」