ONLOOKER Ⅲ


「恋宵? 顔色、すごいよ」
「わー、夏生に心配されるとかにゃまらレアにょろ」
「ふざけてる場合じゃないでしょ」
「へーきよぉ。みんないるもん」

広くて浅いようで狭くて深い、意外にも強固な交遊関係を持つ彼女が、夏生に向かって“みんな”という言い方をするのは、決まって生徒会役員のことを話す時だった。

平気、と言いながら今は教室に姿の見えない親友の1人を探して扉を見つめ続ける横顔に、夏生は溜め息を吐く。
気が乗らないのは、面倒だからだけではない。


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