ONLOOKER Ⅲ


「恋宵」
「なーに?」
「………………山崎が、放課後マネージャーと一緒に生徒会室に来るって」

笑顔を凍らせたまま声にせずに「え」、と言ったその表情を見て、ほんの僅かの後悔が芽生える。
話があるのにも関わらず恋宵と接することを極力、しかもあからさまに避ける乃恵とのパイプ役は、やはり夏生か聖だった。
今の恋宵にとって、彼女との話し合いは追い討ちのようなものだろう。
夏生だって、いつものように底抜けに明るくない彼女の笑顔は、もう見飽きていた。

「嫌なら俺と紅先輩で話聞いとくけど」
「なんで、だいじょぶにょろよー。だってこれ生徒会の問題じゃなくて、アタシ1人の問題じゃにゃい」
「……なら、いいけど」
「ありがとう。夏生」

そう、本当に嬉しそうに微笑んだ彼女に、夏生は少し目を細めただけだった。


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