ONLOOKER Ⅲ


落葉松は数年前に家を出て、アルバイトを転々としていたらしい。
紅も会うのは4年ぶりだと言う。

「久し振りに見知った顔に会ったというのに……まさかこんなことになってるなんてね。びっくりですよ」
「そう……そうだよな。なんと言ったらいいか」
「面倒クサイですよねー」
「か、落葉松さん、面倒ってなんですの……!?」
「はい、乃恵さんはちょっと黙っててね」
「な……」

大人っぽいとはいえ、やはりあの妹にしてこの兄あり、というべきか。
他人を振り回す度合いにそれほど落ち着きはないようで、融通の利かない真面目な箱入りお嬢様代表のような乃恵を、マネージャーの立場からしっかり圧している。


< 138 / 208 >

この作品をシェア

pagetop