ONLOOKER Ⅲ
「恋宵ちゃんさ……自分の仕事に、ご両親は賛成してないって思ってんだよ」
「え、どうして」
恋宵の両親は確か、夫婦で服飾メーカーを経営している、その業界でもおしどり夫婦と有名な2人だったはずだ。
直姫はその方面には疎いのであまり詳しくは語れないが、子供服を中心に展開するブランドだと聞いた。
恋宵も両親の話をするときは、いつになく嬉しそうにしていた気がするのだが。
直姫の沈黙が先を促すものだと気付いたのか、聖は、少し迷う素振りを見せてから、口を開いた。
「妹がいたんだよ。双子の」
「………………“いた”?」
その時点で感じた嫌な予感、いや、このあとに続く台詞の予想のようなこれは、外しようのないものだった。
聖は、一度話しはじめてしまえば一も十も同じ、と思ったのか、勢いに任せたように、言った。
「亡くなったんだよ、生まれてすぐ」