ONLOOKER Ⅲ
中庭をゆっくりと歩きながら戻っていると、向かいから金髪が近寄ってくるのが見えた。
いくら服装規定が厳しくない学校だとはいえ、通うのは育ちのいい御子息御令嬢、しかも『超名門』の名に恥じないような秀才ばかりが集まっているので、それほど一般常識を大きく逸脱した外見の生徒はいない。
思い付く限りでも髪を明るく染めているのは一握りだし、その中でも仕事上の理由以外で奇抜な髪色にしている生徒といったら、もう3年B組の“幼馴染み5人組”の1人、大道寺倭ぐらいしかいないだろう。
そんなわけで、直姫には前方から小走りで来るのが誰なのか、すぐにわかった。