ONLOOKER Ⅲ
慌ただしく波乱の渦中だった最近にしては、この日常は安心感があった。
だからというわけではないし、はっきりとそう思っていたわけではないが、この盗作騒動もじきに、しかも誰も傷付かない、困らないような形で片が付く、そんなふうにどこかで感じてしまっていた。
けれど、波乱はまだ残っていたのだ。
「ちょっと出てきますにょろー」
「あぁ。……て、もう今日はどうせやることもないだろうし、別に帰っても構わないぞ? 夏生はたぶん図書室あたりにいるだろうし、一言連絡を入れておけばいい」
「えぇー、だってまだ4時半にょろよー。いいじゃにゃい、特活の単位もらえるし」