ONLOOKER Ⅲ


乃恵のことを、典型的なお嬢様タイプ──つまり、真面目で世間知らずなところがあって、そのくせプライドの高さでは誰にも負けない質──だと思っていた。
彼女のような振る舞い方をする人間が、そう簡単に自分の非を認め、他人に謝ることなどしないだろうと思っていたのだ。
だから驚いたというわけではないが、直姫でさえ、多少面食らったのは事実だった。

そして、不思議なほどすっきりとした表情で乃恵が生徒会室を出ていったあと、予想通りではあったが、聖が呟いた言葉に、紅はすぐさまつっこまざるを得なかった。

「………………ツンデレ?」
「馬鹿かお前は」


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