ONLOOKER Ⅲ
「恋宵、知ってたでしょ。」
乃恵が立ち去って10分あまり、考えを落ち着けるように誰も口を開こうとしなかった空気を払拭したのは、ソファーに腰かけたままの、夏生だった。
背後を振り向かないままで、後ろに立つ恋宵に言う。
いつも何もかもを見抜いているような顔をしている彼だ。
やはり今回も、些細なことから全ての真実に真っ先に辿り着いていたのだろうか。
彼らは、ミステリーの探偵役に絶対的な信頼と期待を寄せるかのように、夏生に対しても思っていた。