ONLOOKER Ⅲ

 *

彼らの言う話とはなんなのかと思えば、ただ千佐都の男運の悪さについて、延々と切々と語られただけだった。
なにをしに来たのか心底分からないまま散々喋って、千佐都と、昼休みも今も一度も口を開かなかった男子生徒(彼が大道寺倭らしい。准乃介よりも背が高くて、目を合わせるだけでも首が疲れそうだった)に引き摺られて生徒会室を出ていった。

彼らが姿を消した瞬間、紅と聖が深く溜め息を吐く。
厄介事がひとまずなくなったことと、准乃介が妙に苛立っているせいで漂う緊張感からようやく開放されたことと、どちらにより疲弊しているのだろうか。
そして同時に、すぐさま直姫に詰め寄ったのは、やはり聖と恋宵である。


「ちょっと直姫! どーゆうことだよあれ!」
「直ちゃんいつの間に先輩たちと仲良くなってたにょろ!?」


ごく当然の疑問に直姫は、しかし不本意だと言うように眉を顰めた。


「仲良くなんかないですよ。今日の昼休みに会っただけです」
「うわぁもう……あいつらが絡んでくるとマジでろくなことになんないのに!」
「はぁ……それはなんとなく……わかります」


半眼で言う直姫に、二人はがっくりと項垂れた。
直姫だって、関わりたくて関わっているわけではないのだ。

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